
1990年、帰国した熊楠は紀南勝浦・那智へと移り住み、那智大社のふもとで昼は植物採集、夜は和漢洋の書籍を耽読する学問三昧の日々を送る。精神の危機も抱えながら続けた隠花植物研究成果の『ネイチャー』誌への投稿や膨大な量の植物採集・標本作成をすると共に、その後生涯続くことになる変形菌とキノコの採集・観察にのめり込んだ。森の生物の世界との対峠の中に彼は何を見、考えたのか。
■南方熊楠(1867-1941)
和歌山市出身。和歌山中学卒業後上京、東大予備門に学ぶが退学し、20歳で渡米。1900年まで、英米を渡り歩きながらほぼ独学で生物学(高等植物および隠花植物)と民俗学、比較説話学を修め、イギリスの学術誌『ネイチャー』などに論考多数を発表。帰国後は紀南の地にあって、民俗学・説話学の論考多数を日英の雑誌に寄稿し、在野の知的巨人の名声を博すとともに、日本産キノコおよび粘菌の生態相解明を志して採集観察を生涯続けた。
2010年2月4日(木)19:00〜21:00
(受付開始 18:45 )
1945年生。菌類学者。特に細胞性粘菌の生態および分類が専門。早くから南方熊楠の遺した菌類標本および図譜の整理に携わり、熊楠の業績を生物学の面から多面的に検証してきた。また、各地での、キノコおよび変形菌の観察・採集会での指導経験も豊富。編著書に『日本変形菌類図鑑』(平凡社)『南方熊楠菌類図譜』(新潮社)など。
1963年生。植物病理学者。農作物に病害を起こす菌類についての研究のほか近代日本の植物学史についても造詣が深い。また変形菌の登場する文芸作品の収集紹介など、菌類の社会的イメージについても観察を続けている。植物病理学以外の論文に「幻の熊楠粘菌学とその謎」(『現代思想』20巻7号)「南方熊楠と博物学者白井光太郎」(『熊楠研究』7号、8号)など。
1966年生まれ。比較文学比較文化専攻。平成6年頃より、田辺市・南方熊楠邸保存顕彰会による熊楠旧邸の蔵書・資料調査に参加し、蔵書目録・資料目録の編集に携わる。現在、南方熊楠顕彰館所蔵一次資料の調査および翻刻紹介事業に協力。また『(全訳)南方熊楠英文論考「ネイチャー」誌篇』(集英社、共編訳)を刊行後、現在同『〔ノーツ・アンド・クエリーズ〕誌編』を鋭意翻訳中。
セミナーはどなたでもご参加いただけます。
*一部イベントにつきましては年齢制限があり、保護者の同伴もしくは同意が
必要となる場合があります。
席数に限りがございます。
*場合によっては立ち見となる可能性がありますが、ご了承ください